2012年4月15日日曜日

全身麻酔〜導入編〜

全身麻酔を行う際必ず麻酔導入という手順が入ります。
導入というのは、高濃度の麻酔薬を投与して眠らせるまでの過程になります。
ではなぜ導入という手順が必要なのか?
その理由は、高濃度で麻酔薬を投与することで、体内の麻酔薬の濃度を上げておくことで、その後の維持の際少量の麻酔薬で事足りる様にするためですし、高濃度でなければ寝るまでに時間がかかってしまうためです。
導入には何を使うのか?
使うのは、鎮静薬が主になります。具体的には静脈注射で行う場合と吸入麻酔薬で行う場合の2パターンになります。
薬剤名では、静脈注射薬ではディプリバン・ラボナール・ドルミカム・ケタラールが主に使われるものと思います。
吸入麻酔薬は、セボフルレンが主になると思います。
静脈麻酔では、少量でも高濃度となるので、短時間での導入が可能です。こちらは急速導入法といって一般的な導入法です。
吸入麻酔薬では、揮発性の麻酔薬を流して呼吸により麻酔を導入する方法で、呼吸により徐徐に麻酔が掛かり時間は掛かります。こちらは緩徐導入法といいます。この導入法の場合、ルートの確保は必須ではなく、麻酔導入後に確保してもいいため小児などで多く使われます。
 ※高濃度の気化器が多くなってきているので、導入速度は早くなってきています。
それともう一つ重要なのが、酸素化です。高濃度の酸素を吸うことで、体内の酸素量を増やし、このあとの挿管時の無呼吸に耐えられるようにするのと同時に、体内の窒素も排除すること(脱窒素)により、笑気使用時の肺残気による希釈を予防します。
ここまでが、導入になります。

全身麻酔って

全身麻酔は脳に作用させて痛みを感じさせず手術ができるようにするものです。
全身麻酔は、鎮静・鎮痛・筋弛緩の3要素を様々な薬剤を組み合わせて行うようにします。
なぜ様々な薬剤を使用するのか?それは1つの薬剤で3要素を満たすものが無いからです。
組み合わせる薬は多種多様ですが、麻酔科医により好みがあるので、自分の病院の麻酔科医の好みとその薬の作用は最低限知っておく方がいいと思います。